ドライアイスは食品の保冷剤、舞台のスモーク効果、舞台などの特殊効果、人間や動物の遺体保存にも使われるなど、様々な使用法があります。
しかし、ドライアイスを使ったものの、後処分の仕方や余ったドライアイスの保存法についての知識やドライアイスの取り扱い方についてきちんと理解しておかなければなりません。ドライアイスは使い方や取り扱い方を誤るとやけどを負う可能性があります。
そのためには、ドライアイスがどのような化学的性質があるのかをきちんと理解しなければいけません。
この記事では、ドライアイスの作り方から化学的性質、取り扱い方、後処理の仕方についてお話していきます。
ドライアイスの正体とは
ドライアイスは二酸化炭素を固体にしたものです。
ドライアイスの作り方
ドライアイスの作り方は、最初に二酸化炭素を、強い圧力をかけるて液体にします。
次に液体となった二酸化炭素を空気中に噴き出さ、一気に圧力が下げ再び気体にします。この時、急激に圧力が下がるため気化熱(蒸発熱)が奪われ、すぐに凍ります。
気化熱を分かりやすく説明しますと、「風呂上りに体を拭かずにいると風邪を引く」という話を聞いた事があるかと思いますが、これは体の表面についている液体が蒸発するために周囲(ここでは体)から熱を奪うため、体の表面の温度が下がる事に由来しています。この時に奪う熱の事を気化熱と言います。
ドライアイスの場合は、液状の二酸化炭素を噴射させると、圧が急激に下がるので、一瞬気体になりますが、二酸化炭素から気化熱が一気に奪われて急激に冷えてしまうため、二酸化炭素はすぐに凍ってしまいます。
この時、凍った二酸化炭素はパウダー状になるため、パウダー状を再びプレスなどで圧力をかけると、塊のドライアイスが出来ます。
ドライアイスの作り方を簡単な図式で書くと
二酸化炭素(気体)→圧縮→二酸化炭素(液体)→空気中に噴射→二酸化炭素(気体→固体)→圧縮→ドライアイス
となります。
ドライアイスの煙の正体とは
ドライアイスは二酸化炭素を固体にしたものですが、ドライアイスの塊から白い煙がもくもく出ているのを見たことがあると思いますが、この煙を二酸化炭素という人が大変多いです。
この言い方ですと、二酸化炭素ではないような感じですが、実際に違います。
実は、二酸化炭素は無色であるため白い煙の正体ではありません。
正解は水です。
どういう事かといいますと、ドライアイスの温度は-79℃以下で水が凍る温度0℃よりも低いです。
つまり、空気中の水蒸気が冷やされて氷のつぶや水滴になっている状態が白い煙の正体になります。
もうひとつだけお話しますと、本物の煙は上に上がって行きますが、ドライアイスの煙は地面を這うように漂っています。
これは、ドライアイスから昇華(固体から気体に変化すること)するときに、二酸化炭素は空気より重たいため、ドライアイスで冷やされた空気も重たくなるためです。
ドライアイスの取り扱い方
やけど防止のために
ドライアイスでやけど?と思われる方のために説明しますと、一般的なやけどは熱いものに触れた時の事をいいますが、逆に凍傷も立派なやけどに入ります。専門的にいえば、皮膚の温度が触れたものとの温度差で皮膚の組織がやられてしまうことを指します。
そのため、やけど防止のために取り扱う時は必ず厚手の保護手袋を装置してから触ってください。
もちろん、口にくわえるといった行為も厳禁のため、特に小さなお子様が誤って手にとらないように、子供から離れた場所に置いておくようにしてください。
酸欠防止のために
ドライアイスは二酸化炭素であるため、車の中など人が密集した場所に置くのは避けてください。二酸化炭素による酸欠を引き起こす可能性が高いからです。
そのため、ドライアイスを使用する時は、窓をあけて換気してから使用してください。
ドライアイスの処分方法
ドライアイスが余って、もう使用しなくて処分に困っている方は、一般ゴミでいいのかそれとも産業廃棄物なのかと考えるかもしれません。
結論から言いますと、ドライアイスの正体が二酸化炭素である以上、自然放置すれば勝手に気化してくれて自然消滅するので心配ありません。
ただし、室内で放置すると部屋中の二酸化炭素濃度が増えて、酸欠してしまう可能性があるため、人気がない場所で外にしばらく放置するのが良いです。
ドライアイスの保存法
ドライアイスは、使用開始時から気化が始まっているため、長期保存というのには向いていません。
例えば、冷凍庫に保存しようとしても、一般家庭に冷凍庫の温度は約-20℃でありドライアイスの温度-79℃には到底及ばず、自然消滅してしまうのが目に見えています。
ドライアイスを少しでも長く保存させようとするには、気化を出来るだけ抑える事が重要です。
そのため、纸や布でドライアイスを包むと気化を抑えるのに有効です。
究極を言えば-80℃以下の条件で保存できたら長期保存は可能です。しかし、私は大学時代の研究で菌株を-80℃以下でストックさせる業務用冷凍庫を使っていましたが、現実的でないため現状は厳しいと思います。
最後に
ドライアイスは日常生活でも使用する機会は多いため、だからこそきちんとした化学的知識をつけることが重要になってきます。
この記事を読んで、ドライアイスを安全にそして楽しく使用してもらえたら嬉しいです。