冬に旬を迎える牡蠣ですが、実がぷりぷりで甘くて美味しいですが、一方で牡蠣を食べて気持ち悪くなったり、嘔吐や下痢、発熱などの症状が出る事例が多く発生しています。
これらの症状は一般的に「牡蠣にあたる」と言われていますが、なぜ牡蠣はあたりやすいのでしょうか?
もちろん、体質的に牡蠣が合わない人もいますし、どれだけ牡蠣を食べても平気な人もいます。
牡蠣が好きな人もそうですが、牡蠣はあたりやすいから食べるのが怖いという方が多く、栄養価抜群で美味しい牡蠣が避けられているのも事実です。
この記事で、牡蠣があたる原因と対策についてお話していくことで、多くの人が安心して美味しい牡蠣を食べていただけたらと思います。
牡蠣にあたる原因とは
ノロウィルスの感染
冬に食べられる牡蠣にあたる人のうち、一番多い原因は牡蠣を食べる事でノロウィルスに感染してしまう事です。
牡蠣は海水を給水して成長する貝ですが、ノロウイルスに感染した人間が糞便をし、下水や生活排水からウイルスが川から海に流れ、その海水を牡蠣が吸収する事で牡蠣の体内に蓄積され、それを食べる事で感染してしまいます。
もともと、出荷の段階で生食用と加熱用に分けられますが、加熱用のかきは保健所の規定で牡蠣に含まれている菌やウィルスチェックや滅菌処理、洗浄する義務が無い(きちんとおこなっている所もあります)ため、加熱用のかきを間違えて生で食べたり、加熱用牡蠣の加熱が不十分による事で引き起こされる可能性が高いです。
アレルギー反応
食物アレルギーの原因となる食物には、そばやピーナッツ、えび・かになどの甲殻類、果物、豆類など幅広くあげられますが、アレルギーは体が有害だと思っている時に出る症状であるため、人によってどの食べ物、成分に反応するか全く異なります。逆に全くアレルギー反応が出ない人もいます。
牡蠣は、他の貝類に比べても、海域の栄養分をどんどん吸収する性質があるため、あらゆる栄養素がたくさん体内に含まれています。
逆に言えば、それだけ栄養素が豊富であるが故に、アレルギー反応が出てしまう人も増えるため、アレルギー反応を引き起こす可能性が他の食材に対してどうしても高くなってしまいます。
貝毒
牡蠣がプランクトンを餌として食べることで、体内に毒素を一時的に蓄積させることがあります。この毒化した貝を食べることで主に「麻痺性貝毒」と「下痢性貝毒」が発症してしまいます。
基本的には、生産者をはじめ、保健所が徹底した検査を行い、貝毒が規定以上発見されるとすぐに出荷停止となるため、市場に出回ることはありません。
もともと、牡蠣は体内の水分の循環が早いため、毒を蓄えている期間が短いため、貝毒になる可能性は他の貝に比べて確率は低いです。
ただし、気をつけるべき点として、貝毒は加熱しても滅菌されないので、生牡蠣食べたから、加熱用食べたからというのは関係ありません。
腸炎ビブリオ・菌類
生牡蠣を調理する過程で、調理する場所および調理する方の衛生管理レベルによっては、腸炎ビブリオや大腸菌など、ウイルスや菌が牡蠣に混入してしまうこともあります。
また、カキの殻はデコボコしているため、汚れが残っていると、そこから雑菌が入ってしまうことも考えられます。
牡蠣にあたらないための対策
これをすべて完璧にやっても、牡蠣にあたる可能性はゼロにはなりませんが、少しでも牡蠣にあたる可能性をゼロに近づける事は出来ます。
まずは、加熱用牡蠣を使用する場合ですが、ノロウイルスは中心温度85度で1分間以上の加熱を行うことで死滅することが分かっております。そのため、加熱するときはしっかりと中まで火をとおりましょう。
次に、生で食べる時は必ず「生食用」の牡蠣を選ぶ事です。別の言い方をすれば、加熱用の牡蠣を絶対に生で食べてはいけません。
最後に基本中の基本ですが、調理する時は、きれいな調理道具を使用して、調理場所周辺の衛生面をしっかりと保った状態で行ってください。
牡蠣にあたった場合の対応について
ノロウィルスの場合(腸炎ビブリオを含む)
ノロウイルスの潜伏期間は、24時間から48時間と記載されているため、牡蠣を食べた直後に食あたりが発生するわけではなく、牡蠣を食べてから1.2日経過してから以下の症状が出ます。
ノロウイルスに感染するとこれらの症状が1~2日続き、その後自然に回復していきます。
ただし、老人や乳幼児だったり免疫力が低下している状態だと症状が長引く事もあるので要注意です。
現在はノロウイルスの効果のある抗ウイルス剤はないので、水分補給・栄養補給による自然治癒で治します。
しかし、ノロウィルスによる下痢が酷いからといって、下痢止めを飲むと、ウイルスが体外に排出するのが遅れるため症状が長引くのでそこは我慢して、自然完治に努めてください。
腸炎ビブリオの場合もノロウィルスとほぼ同様の症状が出るので、同じように自然治癒で治します。腸炎ビブリオの方が潜伏期間が短いため、ノロウィルスより早めに症状が出ます。
ノロウィルス以外の場合
基本的に牡蠣があたるほとんどの原因はノロウィルスですが、ノロウィルス特有の症状でない場合、自分で勝手な判断をせず、すぐに病院で診てもらうのが良いです。