冬の朝はとても冷え込み、息を吐くと白い息が出ます。
白い息を吐きますと、より一層寒さを感じてしまうのではないかと思います。
しかし、同じ息でも夏の暑い日は全く白い息を吐くことはありません。
なぜ、冬の寒い日だけ息を吐くと白い息が出るのでしょうか?
この記事では、そんな疑問にお答えしたいと思います。
理由は温度差と湿度が関係している
人が吐く息の温度は、体温とほとんど同じ温度であるため、35℃~37℃付近です。
人が吐く息には水蒸気が含まれていて、通常は無色の気体であるため、目に見える事はありません。
物質は気体、液体、固体の3つの状態が常に温度によって変化します。
これを理科用語で物質の三態変化と言いますが、気体である水蒸気が、外の空気によって冷やされるため、凝固されて水(水滴)に変化します。
特に冬の寒さが厳しいと、息に含まれる水蒸気が一気に冷えるためより白く見えます。
つまり、息の温度はほぼ一定であるため、外気気温が低く温度差があればあるほど、吐く息が白くなります。
一般的に外気気温が13℃を下回ったあたりから白い息を吐くと言われています。
そのため、夏は体温と外気気温がほとんど一緒になるため、息に含まれる無色の水蒸気が冷やされる事はないので、何も見えません。
しかし、水蒸気が冷えると水滴になる時に、なぜ白く見えるのでしょうか?
答えは、水蒸気が水滴となる際に、空気中のチリやホコリなど、微粒子を核とし取り込んで集まるため白く見えます。
また、冬の雨の日などは特に息が白くなっていた記憶があるかと思います。
その理由は湿度が関係しており、湿度が高いと言う事は、口から吐く息の他に空気にも水蒸気が多く含まれるため、水滴に変わる量が増えてより多くのチリやホコリなどを微粒子として取り入れるからです。
その日の湿度によって白くなれる温度は変わりますが、湿度100%であれば17℃で、湿度70%であれば13℃辺りで白い息を吐くことが出来ます。
そのため、外の湿度が低い時は、気温が低くても思ったほど息が白くなりません。
南極で息を吐いても白い息にならない事実
寒い冬に息を吐くと白くなる理由を述べてきましたが、実は南極では息を吐いても白く見える事はありません。
南極は、地球上でもっとも平均気温が低い大陸で、平均気温は-30℃~-50℃くらいのなります。
普通は、口から吐く水蒸気を気温の温度差が大きいので、当然息が白く見えると思います。
しかし、南極は空気がとても澄んでいて、空気にチリやホコリが含まれていない為に、水蒸気がチリやホコリにくっつく事ができず、水滴にならないため、息が白く見えません。
寒い冬に白い息が出る原理と同じ現象とは
白い息が出る現象の理由は、温度差と湿度であることは理解していただけたと思いますが、より理解を深めるため原理が同じ現象について紹介したいと思います。
コーヒーやお茶から湯気が出てくる
コーヒーやお茶など温かい飲み物から湯気が出てくるのは、コーヒーやお茶から出る水蒸気が、温度の低い部屋によって冷えて凝結し、水滴となるため白く見えます。
そのため、お風呂場で浴槽にお湯を入れると、湯気が出るのも同じ原理です。この時、お風呂場の壁に水滴がつくのは水蒸気が冷やされることで水滴になるからです。
冬に温かいコーヒーを飲む
寒い冬に暖かいコーヒーなどを飲みますと、その時に吐く息は白くなります。
それはコーヒーを飲んだ直後の息は、通常の息より温かくなるため、外気との温度差が広がるため、より息が白く見えます。