秋になると無性に食べたくなるものの一つに「サンマ」があげられます。
しかし、スーパーで買ったサンマをいざ焼こうとして、こげすぎたり網にくっついて身がはがれたりと失敗する方は多いと思います。また、サンマから脂が出すぎて、パサパサになった経験がある方は多いと思います。
この記事では、これから旬をむかえるサンマを、より美味しくいただくための焼き方を化学的な視点から紹介したいと思います。
旨いサンマの見分ける目利きの方法
サンマを美味しく焼く焼き方を紹介する前に、旨いサンマの見分け方を紹介します。どれだけ美味しい焼き方を知ったところで、サンマそのものが悪いと、効果が薄くなってしまいます。
普段、魚屋などの専門店で購入される方は、お店の人に直接聞く事が出来ますが、スーパーで買い物される方は、直接聞く機会が無かったり、聞きづらかったりしてしまいます。
そこで、スーパーで買い物される方でも簡単に美味しいサンマの見分け方を紹介しますが、出来るだけ生のサンマ(最初かたトレイに入っていないもの)を選択すると良いです。
サンマの美味しい見分け方の5つのポイント
①頭から背中にかけて厚みがある
②お腹が硬い
③目が透明で澄んでいる
④尻尾を持って立てたとき、ピンと立つもの
⑤口と尻尾が黄色くないもの
あらかじめトレイにパックされたサンマは、②と④がどうしても判断出来ません。それでも、トレイにパックされたサンマしかない場合は、①と③と⑤の項目を意識するだけでも変わると思います。
サンマを美味しく焼く条件とは
サンマに限らずすべての魚を焼くときの理想が「ジューシー」に焼くことです。
ジューシーに焼くという事は焼く前と焼いた後で、重さはほとんど変わらない状況をさします。
家でサンマを焼いたときに、サンマがパサつくのは、脂が逃げている状態です。
まずは、焼いている段階で油が外に逃げないような焼き方をするのが大事になります。
サンマもそうですが、長い時間焼けば焼くほど、生焼け状態になる事なく安全に食べる事ができますが、魚の水分及び脂がかなり抜けるためパサパサしてしまいます。
つまり、サンマを美味しく焼くには、
「通常よりも短い時間で、グリル内の温度を一気にあげる」
「早い段階でほどよい焼き目が出てくる」
の2点で考えるのが一番です。
サンマの旨みを逃さない焼き方とは
先程あげた2点を注意すれば、ジューシーで栄養たっぷりのサンマが焼き上がります。
グリルの準備をする前に、サンマにみりんを塗ります。
ただし、みりんは市販のものを約10倍に薄めたものを使用してください。みりんを直接サンマに塗りますと、焼いたあとにみりん特有の臭いが残ってしまうからです。
サンマにみりんを塗る理由は、みりんに含まれる糖分が加熱されると、サンマに含まれるアミノ酸と反応してアミノカルボニル反応(メイラード反応)がおこります。
アミノカルボニル反応によって、サンマの表面にぬったみりんが茶色に変色し、独特の香りを発生させます。そうすると、見た目の判断としてこれ以上焼けないという合図が出ます。
しかし、いくら茶色に程よい焦げ目がでても表面だけなので、次に考えるべきことは、効率よく短時間に熱を通す方法です。
まずは、グリルに約3分ほど火をかけます。ここでは、サンマは入れず空焼き状態にします。
通常のやり方ですと、グリルにサンマを入れて火をかけますが、この方法ですと、サンマが焼けるまで時間がかかりすぎるため、その間に脂が外に多く逃げてしまいます。
しかし、グリルを先に空焼きする事で、空焼き後にサンマを投入しますと、早い段階でサンマが焼きあがるため、脂が外に逃げる時間を短く出来ます。
グリルの種類による目安の時間は以下の通りです。
両面焼きグリル:3分空焼き→サンマ7分焼き→皿にのせて2分置く→完成
片面焼きグリル:3分空焼き→サンマ5分焼き(表)→サンマ4分焼き(裏)→皿に乗せて2分置く→完成
最後に
今回の方法は、テレビで紹介された方法ですが、私も実際にやってみて本当に効果がある事が実証出来ました。
近年、料理の簡単レシピや再現料理などの特集が多いですが、基本的にすべて化学変化に基づいてきちんとした理論があってこそなので、今後も食と料理に関する情報をどんどん発信したいと思います。