冬になると、テレビ番組の企画やイベントとして、「ワカサギ釣り」を楽しむ模様が放送され、スーパーでもワカサギが売られているのを見ると思います。
ワカサギは冬から初春(1月~3月)に旬を迎える魚ですが、同じ冬に旬を迎えるぶりやカニといった魚介類や甲殻類に比べて、魚の中でも小さいため地味な印象があります。
また、ワカサギはワカサギ釣りのイメージしかないため、ワカサギそのものの生態を詳しく知っている方はかなり少ないように思います。
この記事では、皆が知らないワカサギの生態とワカサギの真実についてお話していきたいと思います。
ワカサギの生物学的分類とは
ワカサギは生物上、キュウリウオ目キュウリウオ科の魚類に分類されます。
ワカサギの名前の由来とは
ワカサギの名前の由来は主に3つの説があります。
一つは、ワカサギの「ワカ」を「若」と捉え、「サギ」は小魚という意味があり、見た目の小ささから、体が弱い小魚という意味の説があります。
二つ目は、ワカサギの体の色が夏鳥のアマサギに似ており、アマサギが冬に南下しても、その場にいる若い魚だから「ワカサギ」という説があります。
三つ目は、ワカサギはたくさんの群れを作って生活をしているため、この状態に由来して、虫がわくという意味を持つ「ワカ」と数が多いという意味を持つ「サギ」が合わさり、すべての動物は寄生虫がつきものであるため、意味を繋げると良い印象はありませんが、比喩から名付けられたという説です。
ワカサギ釣りをやったことがある人は分かると思いますが、ワカサギは釣れる時は入れ食い状態で連れますが、釣れない時はどんなに仕掛けを工夫しても釣ることは出来ません。これは、ワカサギが群れを作る習性があるからです。
そのため、ワカサギが釣れないと思ったら、釣る場所を変えるのはワカサギ釣りの鉄則になります。
ワカサギは湖だけに生息する魚では無いという事実
ワカサギはどこに生息している魚か問われると、ほとんどの人は湖と答えます。
ワカサギはワカサギ釣りの印象があまりにも強く、ワカサギ釣り自体も基本が氷上穴釣り方式でおこなわれ、氷が張った湖にアイスドリルで穴を開けて釣ります。
そのため、ワカサギは湖に生息している魚だと思っても仕方ないと思います。
実は、ワカサギは海にも川にも生息する魚です。
ワカサギは水の変化に適応する能力が非常に高い魚で、海水から淡水になっても平気で各地を移動して点々と生活をする回遊魚です。一方で、一生を河川で過ごすワカサギも存在します。
ワカサギは綺麗な水でしか生息していないというのは間違っているという事実
ワカサギは綺麗な水でしか生息していないという認識を持っている方は多いと思いますが、正確に言えば少し違います。
ワカサギは、水の変化に適応する能力が高いため、富栄養化などの水質汚濁に対する適応力が高いという事になります。
つまり、水質が悪い環境でもワカサギは生息する事が可能であるため、ワカサギが生息出来ない海、川、湖は、相当汚いという認識が正しいのかもしれません。
ワカサギが湖に生息している数が多い理由
ワカサギは元々、淡水と海水が入り混じっているところ(川と海の境)に生息する回遊魚であるため、湖だけに生息しているわけではありません。
ワカサギが湖に多い理由は、昔にワカサギを湖に大量に放流されたからです。
放流された背景には、ワカサギは水質が悪い状況や低水温や塩分に対して広い適応力があり、食用魚としての需要も高いため、日本各地の湖やダムなどに放流され、「ワカサギ=湖」の構図が出来上がりました。
ワカサギの生態とは
ワカサギは、1月~4月に産卵期を迎え、回遊魚のワカサギは、海から川をさかのぼって水草や砂と小石の間(砂礫)に卵を産み、河川型のワカサギは、川や湖の水草や砂と小石の間(砂礫)に卵を産みます。
そのため、ワカサギは1月中旬から2月の中旬までは、卵を保護するためワカサギを釣る事は出来ません。
つまり、ワカサギ釣りの解禁後の2月~3月がワカサギが旬になり、美味しく食べる事が出来ます。
ワカサギは、産卵をすると親魚は死んでしまうため、通常は1年で寿命をむかえますが、稀に2~3年ほど生存するワカサギもいます。
最後に
こうしてワカサギについて見てみますと、分かっているようで分かっていない内容もたくさんあったのではないでしょうか?
ただ、ワカサギを釣ったり食べたりするだけでなく、こうようなワカサギに関する知識を知るだけでも、より釣りも食事も楽しめると思います。