節分と言えば、豆まきと新しい風習で全国で定着しつつある恵方巻きを連想するかと思います。
一方で、柊の枝にいわしの頭を突き刺して玄関(門口)に飾り、いわしを焼いて食べる「節分いわし」の風習があるのをご存知でしょうか?
節分いわしは、関西が主流で、西日本を中心に行われている風習であるため、関東の方は馴染みがないかもしれません。
節分いわしの歴史は古く、平安時代から続いているため、節分いわしをするには伝統とするだけの理由があります。
この記事では、節分の由来、柊いわしをする理由、焼いたいわしを食べる理由と言った内容を科学的な視点で解説していきます。
節分とは?
節分は、「季節を分ける」事を意味しており、各季節が始まる前日の事を指します。
・立春(2月4日ごろ)→春の節分(2月3日ごろ)
・立夏(5月7日ごろ)→夏の節分(5月6日ごろ)
・立秋(8月7日ごろ)→秋の節分(8月6日ごろ)
・立冬(11月7日ごろ)→冬の節分(11月6日ごろ)
昔から、季節の変わり目には邪気(鬼)が存在すると言われており、節分の日に悪魔祓いの風習として豆まきが行われました。
節分は厳密に言えば年4回ありますが、江戸時代からは立春の前日をさすようになり、現在の節分につながっています。
しかし、節分は必ず2月3日とは限らず、節分はあくまでも立春の前日であり、立春は年によって前後にずれます。
今後は、2020年までは2月3日が節分の日ですが、2021年は立春が2月3日となるため、節分は2月2日になります。
柊いわしを飾る理由とは?いつまで飾るのか?
柊いわしは、いわしの頭の独特の匂いと、柊の葉っぱの特徴であるトゲトゲによって、家の出入り口となる玄関の門口に設置する事で、鬼(邪気)の侵入を防ぎ、家と家族を守るお守りの役目を果たすと言われています。
柊いわしの飾りは、節分から立春にかけて行うのが一般的ですが、地域によって若干事情は異なり、長い場合、小正月(1月15日)から節分まで飾る地域もあります。
飾り終わった柊いわしは、処分するわけですが、邪気を追い払うお守りであるため、燃えるゴミにポイと捨てるのは、ゴミ問題としては全く問題ありませんが、紙でくるんで塩でお清めしてから捨てるか、どんと焼きに出すと良いです。
節分にいわしを焼いて食べる科学的根拠とは?
いわしは脂が多い魚で、網の上やグリルで焼くと、いわしの脂が落ちて火に直接当たるため、煙が上がります。
他の脂が多い魚でも同様にすぐに煙が上がりますが、いわしは焼くと独特の臭いを発します。
実際に昔の人は害虫被害を食い止めるために、煙を出して害虫を退治していました。
昔、某番組の実験で、部屋の中にコメを食べる害虫を米びつの中に入れて、その部屋でいわしを焼くとどうなるのか?という事をやっていましたが、いわしを焼いて煙が出るとすぐに、米びつから害虫が出てきて、煙のない方向に逃げていきました。
そのため、いわしを焼くことで、煙と独特の臭いが鬼(邪気)を退治するという風習が広がったと言われています。
また、いわしにはタウリンやDHA、カルシウムなど栄養素が豊富であり、病気から身を守るとされているため、食べる事で体の中に入り込んだ邪気を外へ出すという意味で、焼いたいわしを食べる風習が続いています。
最後に
節分にいわしは昔からの風習で、今は完全に豆まきと恵方巻きが節分と思っている人も多いと思います。
実際のスーパーでも、節分の日はいわしが大量に売られていますが、私は大阪に在中であるため、恵方巻きの販売熱が半端ない事に若干の戸惑いを感じながらも、節分が来たと実感します。
恵方巻きも新しい節分の風習として良いと思いますが、いわしを食べる事で邪気を払うのも良いと思います。