冬は、インフルエンザやノロウイルスに感染する人が劇的に増えますが、その原因となっているのはウイルスです。
私も、今年ノロウイルスに感染して、最初は食あたり(食中毒)と勘違いしていましたが、食中毒の場合はその原因は細菌になります。
このように、ウイルスと細菌は、ヒトに病原体として作用するが、いまひとつウイルスと最近の違いが分からない人は多いです。
また、ウイルスも細菌も同じようなものと思っている人も多いが、実際はかなり性質が異なります。
そのため、ウイルスによる感染と細菌による感染では、予防方法や感染後の対応が異なるため、この二つの違いをきちんと理解しておくことはかなり重要になってきます。
この記事では、ウイルスと細菌の違いとそれぞれの病気にかからないための予防と対策方法についてお話していきます。
細菌とウイルスの基本的な違い
大きさ
細菌・・・・1μm(1mmの1000分の1)
ウイルス・・0.1μm~0.01μm
1mmの1000分の1の細菌は通常の顕微鏡で観察する事は可能だが、ウイルスは、細菌の10分の1~100分の1の大きさしかないため、電子顕微鏡でないと見ることが出来ません。
構造と増殖方法
細菌は、一つの細胞で構成されており、遺伝情報であるDNAと新しい細胞をつくるための材料と機能を持っているため、複製(コピー)して増殖します。
細菌は、栄養分と水分が十分にあって、適正な温度条件であれば、自ら複製して増殖していきます。
ウイルスは、細菌と同様に遺伝情報であるDNAを持っているが、DNAの周りを覆っているタンパク質の殻しか持っていないため、細菌のように自ら増殖する術を持っていません。
ウイルスは、特定の生物の細胞に取り付き、その細胞の複製能力を使って増殖します。
病気の引き起こし方の違い
細菌による感染の広がり方
細菌は、自分で毒素をつくり細胞の外から攻撃をします。
病原菌は地球上のほぼ全域に分布しており、食品中の細菌や食品中で増殖した細菌から発生する毒素を食べることによってヒトに感染します。
そして、細菌による感染は夏場に多く、主な感染経路は口からであるのが特徴です。
細菌による病気一覧例
・病原性大腸菌(O-157)
・サルモネラ菌
・結核
・中耳炎
ウイルスによる感染の広がり方
ウイルスは細胞の中に侵入して、細胞の力を利用して増殖するが、増殖が進むと細胞を破壊してさらに広がっていきます。
そのため、細菌と比較して感染力が強いのが特徴で、近年では鳥インフルエンザのニュースが取り上げられた際も、感染力が強く、被害が拡大したのは記憶に新しいと思います。
細菌は口が主な感染経路であるが、ウイルスの場合は感染力が強いため、嘔吐物や糞便に触れたり、飛沫のウイルスを吸い込んでも感染するため、接触感染や飛沫感染もあります。
ウイルスによる病気の一覧例
・インフルエンザウイルス
・SARSウイルス
・HIVウイルス
・鳥インフルエンザ(ヒトへの感染はまだないが・・・)
細菌とウイルスの感染後の対応について
細菌やウイルスが原因で感染した場合、基本的に抗生物質による治療になりますが、細菌とウイルスでは大きさが全く異なり、サイズが大きい細菌は複製して増殖するので、抗生物質で直接作用されます。そのため、治療とすればそこまで心配いりません。
一方、ウイルスは、非常にサイズが小さいのと、特定の生物の細胞の中に入り込む形で増殖するため、安易に抗生物質を使う事が出来ません。ノロウイルスに感染した場合は、自宅で静養するしかないのも、こういう理由から来ています。
そのため、ウイルス治療は困難を極めるのが現状です。
細菌とウイルスの予防方法とは
細菌は、食べ物から感染する事が多いため、食材の管理と日頃から台所をきちんと消毒、殺菌をおこない清潔にする事が一番の予防になります。
そのため、帰ってきたらすぐに食材を冷蔵庫に入れます。
ウイルスは、感染力が強いため、人との接触を極力避け、外出時はマスクをつけて家に帰ってきたら手を洗うという当たり前な事をきちんとおこないましょう。
また、ウイルスは特定の生物の細胞内に侵入するため、ワクチンを打つのも有効です。