40歳を過ぎますと、健康診断の時に胃のX線撮影が行われ、前日の夜9時過ぎから飲食禁止で、胃の中を空にして検査を受ける事になります。
この検査は正式に上部消化管X線検査または胃透視と言われており、胃の中の様子を知る事が出来て、胃潰瘍や胃がんの発見にも繋がります。
この時に飲むのが硫酸バリウムと粘着剤を水で混ぜた「バリウムがゆ」で一般的にバリウムと言われています。
しかし、近年は胃潰瘍や胃がんの早期発見などはバリウムから胃カメラに変わってきているのと、バリウムに対して抵抗を感じる方も多いかと思います。
この記事では、バリウム検査においての概要と不安要素に挙げられる副作用と下痢について述べ、さらに胃カメラとの比較についてお話していきます。
なぜバリウムを使うのか?
上部消化管X線検査または胃透視を受ける時の最大の疑問は、なぜあのドロっとした重たい液である硫酸バリウムを飲まなければいけないのかだと思います。
バリウムは、もともとギリシャ語で重いという意味であり、原子番号が56で、原子番号が大きければ大きいほどX線を通しにくい性質があるため、バリウムはX線を通しにくいのです。
一方、人体はX線を非常に通すため、バリウムを飲んだ胃をX線撮影をしますと、影(X線が通らない部分)が出来てコントラストがつくため、胃の中の様子を知る事が出来ます。
硫酸バリウムの様に画像にコントラストをつけたり、特定部位だけを強調して撮影するために投与される物質を造影剤と呼ばれており、硫酸バリウム以外にもヨードを用いる事もあります。
バリウム検査の流れ
検査の流れとしまして、硫酸バリウムを飲む時に、一緒に炭酸ソーダを飲みます。
炭酸ソーダを飲む理由は、胃の中で炭酸ガスを発生させる事で胃を膨らます役割があるからです。
しかし、この時ゲップをしてしまいますと、せっかく膨らました胃が元に戻ってしまうため、検査が終わるまで我慢しなければいけないのが一番辛いかと思われます。
硫酸バリウムと炭酸ソーダを飲んだ後は、横になったり検査台を倒されたり起こされたりされます。これは、胃の粘膜面に均一に硫酸バリウムを薄くコーティングさせるためです。均一でないと、X線撮影した時に、ぼやけて見えたり、綺麗なコントラストが出来ずに正確に検査する事が出来なくなります。
バリウム検査の副作用について
バリウムそのものは、毒性があり、体内に入ると筋肉麻痺、最悪のケースだと呼吸が止まってしまいます。
しかし、硫酸バリウムは水に不溶で、胃液、腸液にも溶解されず、体内には吸収されないので、副作用の心配はほぼありません。
バリウム検査終了後に下剤を飲む理由
バリウム検査が終わった後は、早く硫酸バリウムを排出させなければいけないため、下剤を飲むのが必須になります。
いくら硫酸バリウムが体内で無害と言えども、硫酸バリウムを飲んでから十分な水分を補給しないままでいますと、大腸で水分が吸収されてしまい、固まってしまうからです。
つまり、バリウム検査で飲む硫酸バリウムが下痢の原因では無く、検査後に硫酸バリウムを排出させるために下剤を飲まなければいけないので、下痢になってしまいます。
こればかりは、バリウム検査を受ける時に避けて通れない道であるため、覚悟を決めるしかありません。
胃カメラとバリウム検査の比較
胃カメラが出る前までは、胃の中の検査はバリウム検査が主流でした。
そのため、無理やりバリウムを飲んで検査を受けさせられた方も多いかと思いますが、今の時代は胃の検査を行なう時に、自分の判断で胃カメラかバリウム検査かを選べる所が増えてきているようです。
胃カメラのメリットとデメリット
胃カメラは、化学物質を使わずに胃の中の様子をダイレクトで見る事が出来るため、正確な診断が行えますが、口や鼻からカメラやチューブを挿入されるため、苦しさはバリウム検査以上のものがあるかと思います。値段もバリウム検査に比べて高くなります。
バリウム検査のメリットとデメリット
バリウムは胃カメラに比べると、精神的な負担は少ないと思いますが、硫酸バリウムの飲み方やコーティング具合によって正確性に欠けるところがあったり、胃に異常が発生しても細かい所まで知るのは難しいため、その場合結局は胃カメラで見てもらわなければいけません。
まとめ
・バリウム自体は有毒であるが、バリウム検査に用いるのは硫酸バリウムのため副作用の心配はほぼ無い
・バリウム検査後は、硫酸バリウムを排出させるためにわざと下剤を飲み下痢状態にさせる
・バリウム検査は簡易的な検査、胃カメラは正確な検査