生物の謎

スズメバチの種類と生態について解説

この記事では、スズメバチの種類および生態、行動の特徴を抑えておくことで、スズメバチかから自分の身を守る方法についてお話したいと思います。

スズメバチの種類について

日本にはスズメバチ属(7種)、クロスズメバチ属(5種)、ホオナガスズメバチ属(4種)の合計3属16種が生息しています。

その中でも、凶暴性ではキイロスズメバチ、針・毒の危険性ではオオスズメバチが突出しています。

それぞれの特徴について簡単に説明していきましょう。

キイロスズメバチ

比較的小型のハチで、女王バチで25~30mm、働きバチで20~25mm程度です。からだの模様の黄色の部位が広く、全身が黄褐色の長毛で覆われているのでほかのスズメバチと区別できます。

巣は樹洞などの閉鎖的な場所から、木の枝などの開放的な場所、さらには民家の軒下や天井裏、床下など様々な場所に作られます。

オオスズメバチと並んで攻撃性が非常に高く、巣の近くを通っただけで攻撃されることもあります。スズメバチ類の刺傷事故では、このキイロスズメバチによるものが最も多く、この意味では最も危険なハチです。

オオスズメバチ

スズメバチ類の中で最も大型のハチです。女王バチで40~45mm、働きバチでも30~40mmの大きさになります。強烈な毒をもち、かつ攻撃性も非常に高いことから十分な注意が必要です。

巣は倒木や地面などの閉鎖空間に作られます。そのため、巣を発見するのが難しく、気がつかないで巣に接近して襲撃されることが多いようです。

オオスズメバチは縄張り意識が強く、巣の周辺だけでなく樹液がある餌場においても威嚇行動や攻撃を仕掛けてくることがあるので注意が必要です。

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スズメバチはなぜ8月~10月に攻撃性を増すのか?

スズメバチの生態のサイクルを紐解けば、夏~秋に攻撃性を増す理由が分かります。

スズメバチは、ハチの中でも最も社会性を発達させたハチであり、大きな巣を作って、共同で巣を守り、子孫を育てます。
秋に交尾して越冬した女王バチは、自分の好みの場所に巣を作ります。しかし、冬眠から目覚めたばかりのため、スズメバチとしては最もおとなしくなります。

最初は女王バチ一匹だけで巣を作り、働きバチ(メス)の卵を産みます。第一世代の働きバチが羽化する6月~7月以降に急速に巣を拡大しながら個体数を増やしていきます。

巣の規模が大きくなれば、嬢王蜂は外に出る事なく、産卵に集中します。ちなみに生まれた蜂にうち、働き蜂になるのはみなメスで、オスは生殖活動のみおこないます。

つまり、オスには毒がなく、体も小さく貧弱であるため、人を襲う事もまずありません。

そして、巣の勢力が拡大した8月中旬頃からは、巣を外敵から守ろうとするため、巣に近づくものに容赦なく攻撃してきます。また、完成した巣で次世代を託すオスバチと少し遅れて新女王バチの卵が産み付けられます。スズメバチにとってはとても大事な時期を迎えると同時に、より性格が攻撃的になります。

オスバチと新女王バチが羽化する9月中旬から10月下旬頃にかけてが、次世代にバトンを渡す繁殖時期になります。

先に羽化したオスバチが巣穴の外で待機して、後から羽化して出てくる新女王バチを待ちます。交尾は巣の外でしますが、無事に仕事を終えた新女王バチは朽木に穴を掘って一匹だけで越冬し、春の営巣に備えます。

一方、オスとしての大役を無事に終えたオスバチと、巣を守りきった働き蜂、元女王はすべて死んでしまいます。
スズメバチは新女王バチ一匹だけで越冬して、翌春に新しい生命を繋げます。

スズメバチの寿命は、女王蜂で1年、働き蜂で約2ヶ月程度であうため、見た目の怖さと攻撃性から想像出来ないくらい、蝉同様に儚く生命を終えてしまいます。

スズメバチの攻撃対象について

皆さんが一番気になる項目だと思います。スズメバチの攻撃対象が分かれば、対策を練る事が出来るので、しっかり理解しておきましょう。

スズメバチの攻撃対象は主に2つであり、一つは幼虫の餌になる昆虫と、もうひとつは餌場を荒らしたり危害を加える可能性が高いと判断した敵になります。

幼虫の餌になる昆虫

昆虫を餌とするのは、幼虫だけです。スズメバチは、成虫になると腰が細くなるため、固形物を食べることができなくなります。このため成虫は、幼虫のためにさまざまな種類の虫を捕まえては巣へ運んでいき、かわりに幼虫の分泌液を食事にします。このほか、木の樹液や花の蜜も、スズメバチの成虫にとっては大切な餌となります。

そのため、木の樹液や花の蜜の周りにスズメバチが多い理由が分かると思います。

餌場を荒らしたり危害を加える可能性が高い敵

人間が大きく関わるパターンであり、事故の多くは、餌場・巣に近づいたため、敵とみなした蜂が襲ってくるケースです。

蜂に関する知識の中でよく知られている内容として、蜂は視力が低く、目印となる黒・赤・青といった濃い色に対し特に攻撃性を強めます。特にスズメバチの場合に顕著になる傾向があります。

また、スズメバチはにおいにも敏感です。整髪料・香水に含まれる成分、ペンキから揮発するにおい、人の汗にも反応し、近付いたり攻撃してくる場合があります。これは、木の樹液や花の蜜のにおいと関わってくる所もございます。

スズメバチの特徴的な行動とは

スズメバチの動きとスピード

オオスズメバチの飛行速度は時速40kmにもなる事があり、素早く左右に動くものに反応するので、巣の範囲に侵入してしまったと気づいてとっさに逃げようとしても刺されてしまうことはよくあります。

警戒範囲

スズメバチは、巣に近づく相手に対して威嚇をはじめる『警戒範囲』というものを持っています。
この範囲はスズメバチの種類・巣の場所によってこの範囲は数メートル~10メートル程度と差がありますが、以前に敵が侵入してきた経験がある場合、この警戒範囲が広くなります。

警戒範囲内での行動

警戒範囲に入ってきた敵に対して、スズメバチは大きな顎をカチカチと鳴らして警告します。またその周囲を、大きな弧を描いて飛びまわり、この間に敵が立ち去らないと、スズメバチは攻撃をしかけてきます。

この時、針で刺すだけでなく、大顎でのかみつきや、針から毒の液を放ち排除にかかります。

毒液には警報フェロモンと呼ばれる成分が含まれており、 仲間を呼ぶ効果と警告せず敵への即座の攻撃を促す効果があることがわかっています。

最後に

今回の記事では、スズメバチの種類と生態についてお話してきましたが、この情報は事前にスズメバチの被害を防ぐためにお話してきました。

鉢にさされた時の対処法も大事な事ですが、まずは自分で防げるところを防ぐ意識を高めてもらい、自分の身は自分で守れるように注意してください。

この記事がその手助けとなれたら幸いです。

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