鰹は基本的にスーパーなどで一年中販売されている魚で、比較的いつでも食べる事が出来ます。
そのため、鰹の旬についてきちんと理解している人は意外と少ないと思います。
実は鰹は年に2回旬を迎える魚であり、一番有名なのは3月~5月に旬を迎える「初鰹」です。
多くの人は、「初鰹が鰹の旬である」という認識ですが、半分正解半分間違いです。
先程言いましたように、鰹の旬は2回あり、それが9月~11月に旬を迎える「戻り鰹」です。
戻り鰹は初鰹と比べてそこまでスポットが当たっていないように見受けられますが、戻り鰹は初鰹とは違う良さを持っています。
この記事では、戻り鰹の旬についてお話していき、初鰹との違いを知る事で、鰹の楽しみ方のバリデーションが増えたらと思います。
さらに、鰹で有名な本場高知で、鰹を食べに行こうとする際に、初鰹の旬が過ぎたからと言って一年待つ必要もなくなり、秋の戻り鰹を味わいに旅行するのも有りだと思います。
戻り鰹とはどんな鰹なのか?
鰹は、基本的に熱帯から温帯海域に生息します。生物学的には、スズキ目サバ科マグロ族カツオ属に分類される回遊魚です。
生物学的な分類では、スズキ、サバ、マグロ、と鰹と関係なさそうな魚の名前が3つも入っていますが、意外な事にマグロも鰹もサバもスズキもそこまで大きな違いは無いと言えます。
しかも、英語圏ではカツオもマグロも「ツナ」と呼ばれているように、似た種類の魚として区別する事がないように、あまり細かい分類はないようです。
日本近海では毎年春になると、鰹はフィリピン沖から黒潮に乗って北上してきます。
鰹で有名な高知は高知沖がちょうど回遊する鰹の通過ルートであるため、高知は鰹の産地として有名になっています。
この時期に獲れる鰹は、日本の北上に向かっていくため、上り鰹(その年の最初に見られる鰹から初鰹)と呼ばれています。
その後、エサを捕食しながら三陸沖まで北上したカツオは、北から水温の低い親潮にぶつかるとUターンして、初秋頃から南下して、フィリピン沖へ戻っていきます。そのため、この時期に獲れる鰹を「戻り鰹」と呼ばれています。
初鰹と戻り鰹は漁獲した時の季節や回遊するルートで名前が変わるだけであり、生物学上は全く同じ鰹と言う事になります。
戻り鰹の味とは
鰹は年2回旬を迎える理由は分かったと思いますが、果たして戻り鰹の味の特徴とはどのようなものでしょうか?
ちなみに初鰹の場合、エサを求めて日本近海を北上するため、どちらかというと筋肉質で脂身よりも赤身が多く、サッパリとした味わいが特徴です。
そのため、定番中の定番ですが、鰹のタタキにすると、爽やかな風味がいっそう引き立ちます。
戻り鰹は、エサをたっぷりと食べている状態で、フィリピン沖へ帰っていくため、魚自体が初鰹と比べて大きくなっており、脂が多いのが大きな特徴です。
そのため、濃厚でこってりしているため、タタキもそうですが、そのまま刺身で食べるのが一番脂をダイレクトに感じる事が出来るため、美味しくいただけます。
戻り鰹の栄養素とは
いくら戻り鰹が旬といっても、脂が多いと聞くと食べるのを躊躇してしまう方がいらっしゃるかもしれません。
実際に、エサをたっぷり食べて脂肪量を増加させてUターンをしますが、鰹はもともと回遊魚であるため、脂肪分は多くても、その脂肪の中心はEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった
不飽和脂肪酸と呼ばれるものです。
これらは血中のコレステロールを抑え血栓を防ぐ効果があります。
他にも初鰹と同様に、 ビタミンB12、ナイアシン、鉄、タウリンをたくさん含んでいます。
そのため、脂肪が増えても全魚類トップクラスの「たんぱく質量」が抜群であるため、戻りかつおは栄養バランスを保つ優良な食材と言えます。